《群れネズミ/Pack Rat》はレガシーで活躍できるカードか否か
2014年3月20日 趣味 コメント (2)
"「○○ゲー」的な言葉を生み出せるカードは強い。"
……というのは、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》による先入観な気もするが、特定のメタにて圧倒的な強さを見せうるカードという意味であれば、(十手レベルの汎用性でなくとも)日の目を見る可能性は残されていると考えるべきだ。
《群れネズミ/Pack Rat》は『ラヴニカへの回帰』に収録された黒のレアである。
このカードを一目見た瞬間から、友人らに「こいつは強い」と触れ回っていた私である。
昨今の黒単信心デッキでの活躍を見て、「ほうら言っただろう?」と満面のドヤ顔である。
(ちなみに、強いと思ってはいなかったが、ついでに集めた《夜帷の死霊/Nightveil Specter》も同時に活躍するようになって、ますますドヤ顔であった)
スタンダードの黒単信心デッキでは、信心カウントを稼げる点が評価され、《群れネズミ/Pack Rat》は採用に至っている。
しかし、それは「スタンダードの閉鎖的カードプール内での強み」に過ぎない。
最も自由なカードプールを有するフォーマットの一つ、エターナルのレガシーにおいて活躍してこそ、本来のカードパワーが認められると思うのだ。
よって、私はどうにかこうにかして《群れネズミ/Pack Rat》をレガシーで活躍させたい。
と、そういう訳である。
長い前書きであった。すまない。
■《群れネズミ/Pack Rat》の強さって?
1.マナコストが「シングルシンボル2マナ」である
レガシーには2マナ四天王と呼ばれるクリーチャー群が存在している。
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は、高品質のマナレシオを誇り、
《闇の腹心/Dark Confidant》は、効率の良いハンド・アドバンテージを提供し、
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》は、強力なパッケージを引き連れ、
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》は、有意義な選択肢を与えてくれる。
これらのクリーチャー群が強力である所以が、「シングルシンボル2マナ」である。多色デッキであっても無理なく2ターン目に唱えることが可能なマナコストは、汎用性に直結する。
除去されたとして、「どうせ2マナとカード1枚だから」と後を引かないアクションの身軽さは、(殊レガシーの軽量テンポ環境において)デッキへの採用基準の一つである。
《群れネズミ/Pack Rat》は「シングルシンボル2マナ」であるから、この採用基準はクリアしている。
となれば、次に問うべきは、このカードが「一体何をしてくれるのか?」であろう。
2.2ターン目から始まる「展開力」
それは、「ネズミゲー」という言葉に表れている。
1匹の生存を許せば、場を埋め尽くしてしまうゴキブリイズム。
放置したら並ぶ。単体除去では間に合わない。全体除去で一掃するしかない。
そんな展開力が、《群れネズミ/Pack Rat》の強みである。
(《拘留の宝球/Detention Sphere》や《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》などの天敵は存在するが)
しかし、この強みには大きな欠点がある。
毎ターン、3マナと手札1枚を消費しなければ、この強みは発揮されない。
すなわち、《群れネズミ/Pack Rat》を強力なカードとして活用できるのは、3マナと手札1枚を継続的に提供できる仕組みを内臓しているデッキ、ということになる。
3.起動型能力にタップが不要である
起動型能力にはタップが必要なものが多く、それがクリーチャーの起動型能力であれば、様々な欠点がついて回る。
具体的に述べれば、
(1)召喚酔い中に除去されてしまう
(2)1ターン中に使える起動型能力の回数が制限される
(3)攻撃やブロックに参加しながら起動型能力を使うことができないため、アタッカーやブロッカーには向かない
この3点であろうか。
しかし、《群れネズミ/Pack Rat》はタップが不要なのである。
(1)召喚酔い中に除去されない
唱える際に、5マナ以上を確保しておけば、返しに除去られることはない(ただし、全体除去などは除く)。
(2)1ターン中に何度もコピー・トークンを出せる
場に出してからすぐの大量展開も可能だ。
5マナがあれば、2/2が2匹(4点分)
8マナがあれば、3/3が3匹(9点分)
11マナがあれば、4/4が4匹(16点分)
このように、マナと手札さえ許せば、ゲーム終盤の盤面をわずか1ターン中に再現することも容易なのだ。
(3)コピー・トークンを増やした上で攻撃やブロックに参加できる
《群れネズミ/Pack Rat》は戦闘用のクリーチャーである。
クリーチャーがタップアウトしている状態から新しくブロッカーを用意したり、攻撃してからパンプアップの要領でトークンを増やすなど、プレイイングの幅は実に多彩だ。
4.インスタント・タイミングで増える
《群れネズミ/Pack Rat》は3マナと手札1枚を必要とするカード。
しかし、その挙動はタップを必要とせず、インスタント・タイミングである。
つまり、相手のターン終了時まで、3マナと手札1枚を残しておくだけで良いのだ。
これは隙が少ない。
■《群れネズミ/Pack Rat》の強さを活かすには?
上で列挙した《群れネズミ/Pack Rat》の強みをデッキ構築単位で要約すると、
1.黒を含む多色デッキで使える
2.3マナ以上のマナが確保でき、手札が潤沢なデッキで使える
3.除去耐性に優れ、場を占拠できるアタッカー兼ブロッカーとして使える
4.相手のターン終了時まで、3マナと手札1枚が余るデッキで使える
……と、こんな感じだ。
すると、《群れネズミ/Pack Rat》に活躍の場を提供できるデッキの条件は、
A.黒マナが出せる
B.毎ターン、土地を置ける
C.手札に余裕がある
D.自分のターンには、あまり動かない
……もう候補となるデッキは1つしかあるまい!
そう。
Landstillである!
=============================================
■サンプルデッキ『ネズミスティル/Ratstill』
〔メインデッキ/Main Deck〕60cards
4《群れネズミ/Pack Rat》
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
2《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4《渦まく知識/Brainstorm》
3《Force of Will》
3《対抗呪文/Counterspell》
2《記憶の欠落/Memory Lapse》
1《撹乱/Disrupt》
2《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
1《思考囲い/Thoughtseize》
2《断絶/Snap》
3《苦痛の命令/Decree of Pain》
4《行き詰まり/Standstill》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《Underground Sea》
2《島/Island》
2《沼/Swamp》
2《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
4《変わり谷/Mutavault》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
2《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》
=============================================
【解説】
基本的な戦略は、ミシュラランドか《群れネズミ/Pack Rat》を展開して、《行き詰まり/Standstill》で蓋をするというもの。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《行き詰まり/Standstill》
Pack Rat本体さえ出しておけば、Standstillで蓋をした状態でネズミを展開し続けることが可能です。Standstillの3枚ドローも、戦術上Pack Ratと噛み合います。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
土地を捨ててネズミを増やし、墓地の土地を場に出してマナを増やす。ただそれだけですが、強いっすね。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
ネズミ軍団のconverted mana costは2点なので、相手のチャンプブロッカーなトークンは一掃しつつ、ネズミを残すこともできます。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《行き詰まり/Standstill》+《苦痛の命令/Decree of Pain》
ネズミ軍団がゲームを終わらせようとしている場合、大体はP/Tが3/3以上です。Decree of Painのサイクリングは邪魔なブロッカーの一掃に役立ち(1枚ドローできるので、ネズミもさらに増やせる)、普通に唱えた場合には、Pack Ratに投資した手札を取り戻すリセットとして機能します。勿論、場を一掃してから潤沢な手札を資源に、Pack Rat展開モードに移行しても良いです。
・《変わり谷/Mutavault》
通常のLandstillでは《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》を用いますが、Pack Ratとのシナジーを踏まえ、こちらを使います。
・《断絶/Snap》
相手クリーチャーの除去だけでなく、Pack Rat本体の救出やSnapcaster Mageの再利用に役立ちます。フリースペルなため、2マナ分の土地がアンタップし、手札に戻したPack RatやSnapcaster Mageを唱えるマナも確保できます。
=============================================
大体、こんな感じっすかね。
《群れネズミ/Pack Rat》
《行き詰まり/Standstill》
《苦痛の命令/Decree of Pain》
この3枚のシナジーがお気に入りです。
……というのは、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》による先入観な気もするが、特定のメタにて圧倒的な強さを見せうるカードという意味であれば、(十手レベルの汎用性でなくとも)日の目を見る可能性は残されていると考えるべきだ。
《群れネズミ/Pack Rat》は『ラヴニカへの回帰』に収録された黒のレアである。
このカードを一目見た瞬間から、友人らに「こいつは強い」と触れ回っていた私である。
昨今の黒単信心デッキでの活躍を見て、「ほうら言っただろう?」と満面のドヤ顔である。
(ちなみに、強いと思ってはいなかったが、ついでに集めた《夜帷の死霊/Nightveil Specter》も同時に活躍するようになって、ますますドヤ顔であった)
スタンダードの黒単信心デッキでは、信心カウントを稼げる点が評価され、《群れネズミ/Pack Rat》は採用に至っている。
しかし、それは「スタンダードの閉鎖的カードプール内での強み」に過ぎない。
最も自由なカードプールを有するフォーマットの一つ、エターナルのレガシーにおいて活躍してこそ、本来のカードパワーが認められると思うのだ。
よって、私はどうにかこうにかして《群れネズミ/Pack Rat》をレガシーで活躍させたい。
と、そういう訳である。
長い前書きであった。すまない。
■《群れネズミ/Pack Rat》の強さって?
1.マナコストが「シングルシンボル2マナ」である
レガシーには2マナ四天王と呼ばれるクリーチャー群が存在している。
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は、高品質のマナレシオを誇り、
《闇の腹心/Dark Confidant》は、効率の良いハンド・アドバンテージを提供し、
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》は、強力なパッケージを引き連れ、
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》は、有意義な選択肢を与えてくれる。
これらのクリーチャー群が強力である所以が、「シングルシンボル2マナ」である。多色デッキであっても無理なく2ターン目に唱えることが可能なマナコストは、汎用性に直結する。
除去されたとして、「どうせ2マナとカード1枚だから」と後を引かないアクションの身軽さは、(殊レガシーの軽量テンポ環境において)デッキへの採用基準の一つである。
《群れネズミ/Pack Rat》は「シングルシンボル2マナ」であるから、この採用基準はクリアしている。
となれば、次に問うべきは、このカードが「一体何をしてくれるのか?」であろう。
2.2ターン目から始まる「展開力」
それは、「ネズミゲー」という言葉に表れている。
1匹の生存を許せば、場を埋め尽くしてしまうゴキブリイズム。
放置したら並ぶ。単体除去では間に合わない。全体除去で一掃するしかない。
そんな展開力が、《群れネズミ/Pack Rat》の強みである。
(《拘留の宝球/Detention Sphere》や《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》などの天敵は存在するが)
しかし、この強みには大きな欠点がある。
毎ターン、3マナと手札1枚を消費しなければ、この強みは発揮されない。
すなわち、《群れネズミ/Pack Rat》を強力なカードとして活用できるのは、3マナと手札1枚を継続的に提供できる仕組みを内臓しているデッキ、ということになる。
3.起動型能力にタップが不要である
起動型能力にはタップが必要なものが多く、それがクリーチャーの起動型能力であれば、様々な欠点がついて回る。
具体的に述べれば、
(1)召喚酔い中に除去されてしまう
(2)1ターン中に使える起動型能力の回数が制限される
(3)攻撃やブロックに参加しながら起動型能力を使うことができないため、アタッカーやブロッカーには向かない
この3点であろうか。
しかし、《群れネズミ/Pack Rat》はタップが不要なのである。
(1)召喚酔い中に除去されない
唱える際に、5マナ以上を確保しておけば、返しに除去られることはない(ただし、全体除去などは除く)。
(2)1ターン中に何度もコピー・トークンを出せる
場に出してからすぐの大量展開も可能だ。
5マナがあれば、2/2が2匹(4点分)
8マナがあれば、3/3が3匹(9点分)
11マナがあれば、4/4が4匹(16点分)
このように、マナと手札さえ許せば、ゲーム終盤の盤面をわずか1ターン中に再現することも容易なのだ。
(3)コピー・トークンを増やした上で攻撃やブロックに参加できる
《群れネズミ/Pack Rat》は戦闘用のクリーチャーである。
クリーチャーがタップアウトしている状態から新しくブロッカーを用意したり、攻撃してからパンプアップの要領でトークンを増やすなど、プレイイングの幅は実に多彩だ。
4.インスタント・タイミングで増える
《群れネズミ/Pack Rat》は3マナと手札1枚を必要とするカード。
しかし、その挙動はタップを必要とせず、インスタント・タイミングである。
つまり、相手のターン終了時まで、3マナと手札1枚を残しておくだけで良いのだ。
これは隙が少ない。
■《群れネズミ/Pack Rat》の強さを活かすには?
上で列挙した《群れネズミ/Pack Rat》の強みをデッキ構築単位で要約すると、
1.黒を含む多色デッキで使える
2.3マナ以上のマナが確保でき、手札が潤沢なデッキで使える
3.除去耐性に優れ、場を占拠できるアタッカー兼ブロッカーとして使える
4.相手のターン終了時まで、3マナと手札1枚が余るデッキで使える
……と、こんな感じだ。
すると、《群れネズミ/Pack Rat》に活躍の場を提供できるデッキの条件は、
A.黒マナが出せる
B.毎ターン、土地を置ける
C.手札に余裕がある
D.自分のターンには、あまり動かない
……もう候補となるデッキは1つしかあるまい!
そう。
Landstillである!
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■サンプルデッキ『ネズミスティル/Ratstill』
〔メインデッキ/Main Deck〕60cards
4《群れネズミ/Pack Rat》
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
2《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4《渦まく知識/Brainstorm》
3《Force of Will》
3《対抗呪文/Counterspell》
2《記憶の欠落/Memory Lapse》
1《撹乱/Disrupt》
2《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
1《思考囲い/Thoughtseize》
2《断絶/Snap》
3《苦痛の命令/Decree of Pain》
4《行き詰まり/Standstill》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《Underground Sea》
2《島/Island》
2《沼/Swamp》
2《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
4《変わり谷/Mutavault》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
2《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》
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【解説】
基本的な戦略は、ミシュラランドか《群れネズミ/Pack Rat》を展開して、《行き詰まり/Standstill》で蓋をするというもの。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《行き詰まり/Standstill》
Pack Rat本体さえ出しておけば、Standstillで蓋をした状態でネズミを展開し続けることが可能です。Standstillの3枚ドローも、戦術上Pack Ratと噛み合います。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
土地を捨ててネズミを増やし、墓地の土地を場に出してマナを増やす。ただそれだけですが、強いっすね。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
ネズミ軍団のconverted mana costは2点なので、相手のチャンプブロッカーなトークンは一掃しつつ、ネズミを残すこともできます。
・《群れネズミ/Pack Rat》+《行き詰まり/Standstill》+《苦痛の命令/Decree of Pain》
ネズミ軍団がゲームを終わらせようとしている場合、大体はP/Tが3/3以上です。Decree of Painのサイクリングは邪魔なブロッカーの一掃に役立ち(1枚ドローできるので、ネズミもさらに増やせる)、普通に唱えた場合には、Pack Ratに投資した手札を取り戻すリセットとして機能します。勿論、場を一掃してから潤沢な手札を資源に、Pack Rat展開モードに移行しても良いです。
・《変わり谷/Mutavault》
通常のLandstillでは《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》を用いますが、Pack Ratとのシナジーを踏まえ、こちらを使います。
・《断絶/Snap》
相手クリーチャーの除去だけでなく、Pack Rat本体の救出やSnapcaster Mageの再利用に役立ちます。フリースペルなため、2マナ分の土地がアンタップし、手札に戻したPack RatやSnapcaster Mageを唱えるマナも確保できます。
=============================================
大体、こんな感じっすかね。
《群れネズミ/Pack Rat》
《行き詰まり/Standstill》
《苦痛の命令/Decree of Pain》
この3枚のシナジーがお気に入りです。
コメント
私は黒緑でロームの勝ちパターンの1つとして採用するのが堅実かなー?
と思っていました。
おそらく黒緑ロームでも採用でき、かつ活躍できるとは思います。
ローム系は、手札もマナも潤沢ですからね。
しかし、黒緑ロームにネズミ4枚分のスロットを確保することは難しく、より効率的なフィニッシャー候補が他に多数あるため、「群れネズミでなければならない」とはならないのが残念なところです。